NZの在来植物
鳥類以外の動物がいない時期が長かった歴史をもつNZでは独自の進化を遂げた植物に出会える。マオリ族は植物の特性を生かし生活道具を作り病気の治癒にも利用した。珍しい植物の特徴を知ると旅がさらに面白くなる。
Kauri
世界で最も古くから存在するNZ固有の植物。ゆっくりと成長し、タネ・マフタ(森の主)と呼ばれるカウリは高さ50m・樹齢は2000年を越える。日本の屋久杉と姉妹木協定を結んでいる。北島のロトルア以北でのみ見られる。
カウリ
Harakeke
高さ2mもの葉の塊となる亜麻。マオリ族はその繊維を編んでカゴやマット、魚の網を作っていた。種から取れるオイルはスキンケア用品にも使われるほど良質。緑が多い所だけではなく街中や道路端など様々な場所で見られる。
ハラケケ
Lancewood
幼木時はトゲのある葉を下向きに生やす珍しい木。3mほどの高さになると姿をかえ、幹の先端部にふさふさとした緑の葉をつける。かつて生息した巨大鳥『モア』から身を守るための進化と言われる。NZ全土で見ることができる。
ランスウッド
Rewarewa
春(10月〜11月)にボトルブラシのような赤い花を咲かせるレワレワ。糖分を多く含む花蜜からは甘い香りが漂いトゥイなどの野鳥を惹きつける。レワレワの蜂蜜は濃厚でマヌカハニーと同様、抗酸化・抗炎症作用があるそう。
レワレワ
Five Finger
マオリ語でファウファウとも呼ばれる植物。掌を広げた様に5〜7枚の葉を広げる。生育が早く様々な土壌で育つため森林再生等の用途でも植えられる。冬〜春先に咲く花はミツバチに豊富な花蜜を供給し、紫色の果実は鳥たちが楽しむ。
ファイブフィンガー
Wineberry
葉先は鋸状で赤みがかった葉柄をもち、10-12月に花を咲かせる。樹皮と葉を煎じ火傷や腫れ物、目の痛みなど薬用に、幹から取れる青黒色の染料は布などに染色に使われた。果実は食べることができジャムやワインを作ることも。様々な用途がある植物でマオリ族に大切にされた。
マコマコ
Silver Fern
NZのアイデンティティ的なシダ。葉の裏と茎から伸びる枝が白いのが特徴。成長すると10m以上の高さに達する。昔のマオリ族は暗い森の中でシルバーファーンを道しるべとして使用していた。北島で多く見られる。
シルバーファーン
Cabbage Tree
成長すると10m〜20mの高さになる。食べられる新芽がキャベツなど野菜の栄養素に近いことが名前の由来。欧州からの入植者は耐火性あある幹を煙突として使用したりした。湿った土壌から海抜千mの場所まで育つ範囲は広い。
キャベジツリー
Toetoe
見た目がススキによく似たイネ科の在来植物。外来種のパンパグラスとも似ていて間違いやすい。マオリ族はカゴを作ったり屋根を葺くための材料、または腎臓機能を改善する薬として利用していた。主に北島に分布。
トイトイ
Bracken Fern
独特の形の葉をもち成長すると2mにもなるシダ。かつてマオリ族は根茎を収穫し食料と(叩いてでんぷん質を抽出)したり、戦場での栄養源にしたそう。葉は馬や牛が食べると中毒の危険が。マオリ族はサワガニを捕まえる罠に葉を使用していた。
ラルラフ
Kotukutuku
世界最大(最長12m)のフクシアで在来種としては珍しい落葉樹。8〜12月に下向きに咲く花は黄緑→赤紫へ色を変える。青い花粉はマオリ族の女性がリップカラーとして使ったとか。実は食べることができ初期の入植者はジャムにしていた。
コウトゥクトゥク
Kawakawa
大きなハート型の葉を持つ胡椒科の植物(別名パッパーツリー)。皮膚の炎症(痒み・痛み)を改善したり、お茶にすると消化器官をサポートし胃痛を和らげるなどの薬効が。虫に食われた(穴が空いてる)葉の方が多くの活性化合物が含まれ効果が出やすいそう。
カワカワ
Mamaku
高さ約20m(ビルの7階)にまで成長する木性シダ。葉の長さも最大で5mに達する。別名"ブラックツリーファーン"。マオリ族は『コル』と呼ばれる新芽を食料としていた。北島に多く、南島は霜がおりない地域で見られることも。
ママク
Nikau
世界で最も南の地域で見られるヤシの木。約15mの高さまでゆっくり成長し葉の長さは3mにもなる。マオリ族は葉を屋根・帽子・マット・カゴなどに使っていた。海沿いではなく森の中で見られ庭木として植えられていることも。
ニカウ
Tussock
小麦畑のようなタソック草原。タソックはゆっくり成長するイネ科の植物で中には2mに達するものも。空気清浄の働きがあるそうで市街地に植えらることも。北島ではトンガリロ国立公園等で一面に広がるタソック草原がみられる。
タソック
Rangiora
柔らかく大きな葉の裏は滑らかな白い毛で覆われている。葉には消毒効果があると言われマオリ族は湿布として、初期の入植者はトイレットペーパー代わりに使用していた。ランギ(空)オラ(健康)はマオリ族にとって健康と活力を象徴する植物。
ランギオラ
Koromiko
12月〜6月に白いライラックの花を咲かせるコロミコ。葉は薄緑で細く尖っておりマオリ族は若葉を噛んで下痢や便秘をなおしたり、発疹や擦り傷に貼るなどして何世紀にも渡ってその薬効を利用したそう。NZ全土で見かけられる。
コロミコ
Kanuka
名前と見た目がマヌカに似ているカヌカ。マヌカよりも背が高く、葉が柔らかい。カヌカから取れる蜂蜜にはMGOが含まれない一方、抗菌性と抗炎症作用のある成分(AGP)はマヌカよりも多く含まれるそう。カヌカハニーは健康に役立つ自然食品として今後需要が高まる可能性も。